ファン式冷凍冷蔵庫の動作と修理方法

家庭用の冷凍冷蔵庫は主に直冷式とファン式とがあります。多いのはファン式でこの冷蔵庫が修理できればたいていの冷蔵庫の修理ができるようになります。ファン式の中でも構造が単純で一般的に多い機械式の霜取りタイマーを使用した機種の動作を理解しておきたいものです。

ファン式冷凍冷蔵庫は冷蔵機器の動作の基本です。この動作を完全に理解しておくと、他の冷蔵機器の修理も怖くありません。経験を積めばどんな種類の冷蔵庫や冷凍庫でも修理できるようになります。

ファン式で機械式霜取りタイマーの冷蔵庫の基本回路図

ファン式で機械式 霜取りタイマー楽天 の冷凍冷蔵庫の回路図の一般的なものは、次のようなものです。冷蔵庫の電源を入れたばかりの時や一般に動作中の状態を示しています。

ファン式で機械的霜取りタイマーの冷蔵庫の回路図

通常運転時の動作がどのようになっているのかを、次の回路図で説明します。まず、この時の動作をよく理解してください。

通常運転時の動作

冷凍冷蔵庫が冷えていない時はサーモスタットがON状態になっていて、霜取りタイマーはCとN.C.が導通しています。(CはCommonの略、N.C.はNormally Closedの略)

この為、AC100Vの電源電流は、サーモスタットから霜取りタイマーを通って、ファンモーターと圧縮機モーターが運転するようになっています。

通常運転時の動作

この時、霜取りタイマーの時計のモーターは温度ヒューズと霜取りヒーターを通して電流が流れて常に動作しています。赤矢印は霜取りタイマーの電流を表しています。

冷蔵庫が十分冷えてくると、サーモスタットがOFFとなります。そうすると、ファンモーターと圧縮機モーターが停止します。同時に野菜室ヒーターとチルド室ダクトヒーターとダンパーヒーターに通電して、これらの部分が凍らないようにします。

霜取り運転時の動作

冷蔵庫の動作が長くなると冷凍室に霜が付いてきます。そうすると、霜取りタイマーが動作して、CとN.C.がOFFになり、CとN.O.がONになります。(N.O.はNormally Openedの略)

この時、冷凍庫内が十分冷えていれば霜取りバイメタル(バイメタルサーモともいう)が導通しています。

霜取り運転時の動作

この為、霜取りタイマーのモーターはショートされて停止します。そして温度ヒューズを通して、霜取りヒーターに電流が流れて霜取りをします。赤矢印は霜取り電流を表しています。

霜取り動作には霜取りバイメタルと温度ヒューズと霜取りヒーターの導通と霜取りタイマーの動作が重要です。

霜取り運転後の動作

霜取り運転が停止するのは、冷凍室の氷が溶けて温度が上昇して、霜取りバイメタルがOFFとなるからです。そうすると、霜取りタイマーのモーターのショートが解除されて、霜取りタイマーが温度ヒューズと霜取りヒーターを通して電流が流れて動作を始めます。この電流での霜取りヒーターの発熱はほとんどありません。赤矢印は霜取りタイマーの電流を表しています。

霜取り動作の終了には霜取りバイメタルがOFFする事と温度ヒューズと霜取りヒーターの導通と霜取りタイマーの動作が重要です。

温度ヒューズか霜取りヒーターが切れていると、霜取り後に霜取りタイマーが動かず、永久に通常運転に戻りません。

霜取り運転後の動作

しばらくすると、霜取りタイマーの接点が動作して、CとN.O.がOFF、CとN.C.がONとなり通常の動作に戻ります。つまり、AC100Vの電源電流は、サーモスタットから霜取りタイマーを通って、ファンモーターと圧縮機モーターが運転します。

冷凍冷蔵庫の故障修理方法と修理例

冷凍冷蔵庫の修理には上記の冷蔵庫の基本動作を理解することが最も重要なことです。これを理解していれば、自分で考えれば自然と修理できるはずです。

冷凍冷蔵庫の故障診断方法(霜取りタイマー不良等)

■症状
 冷蔵室又は冷凍室の冷えが悪い。冷却ファンは回っている場合もあり回っていない場合もあります。

■修理診断方法

冷凍冷蔵庫冷却器手前側の目詰まり

■症状
 冷凍室の冷えが悪い、冷却ファンは回っている。コンプレッサも正常。

■診断と修理方法

冷凍室の下の冷却器の状態を見ると、手前の空気取り入れ口側の冷却器が目詰まりしています。このようになるのは冷蔵庫のドアの閉まりが悪いか、ドアが開いたままになっていた事が考えられます。原因を取除きます。野菜室の奥に物が落ちて野菜室のドアが少し開いたままになっていることがあります。

霜取りタイマーを回して霜取りに入れます。ヒーターに通電して霜取りをするか動作を確認します。バイメタルサーモと温度ヒューズの良否が確認できます。

冷却器についた氷をドライヤやぬるま湯で融かします。一部のみ温めて温度ヒューズを切らないように注意します。ドレン水がドレンパンに出るのを確認します。しばらくすると自動的にコンプレッサが動くのを確認します。霜取りタイマーの動作が確認できます。