ピロリ菌の検査方法

ヘリコバクターピロリ菌の有無の検査は、従来の胃カメラを使う方法と、最近は胃カメラを使わない、尿素呼気試験法や血液検査によってピロリ菌の抗体検査をする方法などがあります。胃がんの自治体検診にはABC検査という血液検査で行なっています。



ピロリ菌の除菌(除去)の必要性

注射器の画像

日本では約6000万人が ピロリ菌楽天 に感染しているといわれています。ヘリコバクターピロリ菌は胃ガン(胃癌)の原因のひとつともいわれています。その為、胃ガンの予防の為にはピロリ菌の除菌が重要になってきています。

2008年までは、ピロリ菌に感染していても、胃ガンになる人は年間に1%もないので、除菌の必要性はあまりないと思われていました。

しかし、2009年に、日本ヘリコバクター学会が診療のガイドラインを改訂して「ピロリ菌の感染者全員の除菌を強く勧める」としました。その理由は、ピロリ菌の除菌には胃ガンの予防効果があることがより確実になったからです。

胃の中のピロリ菌存在の有無の検査

ピロリ菌の検査方法には次のように様々な方法があります。最近は胃カメラを使わない簡単で確実な方法が開発されて便利になりました。

内視鏡(胃カメラ)を使って行なう方法

まず内視鏡(胃カメラ)を使って胃の中から胃の組織の一部を取り出します

■培養法----培養してピロリ菌が居るかどうか調べる

■鏡検法----顕微鏡でピロリ菌を探したり、胃粘膜のピロリ菌による異変を調べます

■迅速ウレアーゼ試験法----PHの試験薬により、アンモニアの有無を調べる

これらの検査は胃カメラを使う事や培養に時間がかかるのが欠点です。私は1999年にピロリ菌を除菌した時、内視鏡を使った検査方法でやりました。

内視鏡(胃カメラ)を使わない方法

尿素呼気試験法

  1. 同位元素の炭素13Cで標識された尿素を水と共に飲みます
  2. 約20分後に呼気を採取します
  3. 呼気の中の同位元素の炭素13Cで標識された二酸化炭素の存在を検査します

この方法はピロリ菌が尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を作り出す、ウレアーゼという酵素を持っているのを応用したものです。患者への負担が小さく、確度も高い方法です。除菌後の検査に最適です。

同位元素の炭素13Cは普通の炭素12Cに比べても放射性を持つ訳ではなく安全です。自然界にも約1.1%の割合で存在しています。

ピロリ菌の有無の抗体検査法

胃がヘリコバクターピロリ菌に感染しているかどうかを調べる為に、尿や血液検査をする方法です。ヘリコバクターピロリ菌は胃粘膜にダメージを与えて胃がんなどの病気の元になりやすいと考えられています。

この方法はピロリ菌が居なくなっても暫くは抗体反応が出るので、除菌後のすぐの検査には使わない方が良いとされています。

胃がん検診のABC検診とは

自治体が行なう健康診断の集団検診では、胃がん検診として胃のレントゲン撮影の他に、ABC検診を実施しています。

これは血液検査をするだけで、ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査とペプシノゲン検査の両方を行ない、ピロリ菌感染の有無と萎縮性胃炎の程度を調べるものです。これにより、胃がんになり易い状態かどうかを調べて胃がんなどの早期治療に役立てるものです。