ワットチェッカー(2000MS1)の性能の比較測定

消費電力の測定には普通は電力計を使いますが、市販の手軽な電力計として、エコワットがあります。エコワットは力率が小さい製品の電力を測定すると誤差が大きくなり使い物になりません。そこで、力率も測定できる計測技術研究所のワットチェッカー(2000MS1)を入手したので、その性能を簡単に測定してみました。

ワットチェッカー(2000MS1)の概略

消費電力等を測定している写真

この写真は左のMETEXのM-3860Mを電力計としたものと、ワットチェッカー(2000MS1)を同時に使って 消費電力楽天 等を測定している時のものです。

ワットチェッカー本体の裏側に差し込みプラグ部分があり、本体の上側に測定する機器のコンセントがあります。これらのコンセントに差し込んでボタンを押だけですぐに測定できます。

測定項目は、電圧(V)、電流(A)、有効電力(W)、皮相電力(VA)、周波数(Hz)、力率(PF)、積算電力量(kWH)、積算時間(H)の8項目です。

今回入手した製品は2000MS1でしたが、TAP-TST5という品番のものもあるようです。たぶん中身は同じだと思います。最近はTAP-TST7という、積算料金(円)、CO2換算(kg)が表示できるものもありますが、基本性能は同じです。

ワットチェッカー(2000MS1)の測定範囲と測定精度

測定項目 測定範囲 測定精度(Typ.) 測定精度(Max.)
電源電圧(AC,RMS) 85.0〜125.0V 0.2% 1%
電源電流(AC,RMS) 0.00〜15.00A 0.3% 1%
有効電力 0〜1875W 0.5% 2%
皮相電力 0〜1875VA 0.5% 2%
周波数(Hz,Frequency) 47.0〜63.0 0.1Hz 2%
力率(PF,Power Factor) 0.00〜1.00 0.01 0.03
積算電力量 0.00〜9999kWH 0.5% 2%
積算時間 00:00〜9999Hour 30ppm
測定周期 1Sec. -

各種電力等の測定結果(ワットチェッカーとMETEXのM-3860Mの比較)

測定した家電機器は次のように、ナショナル扇風機(F-A302C)の力率がほぼ1のものと、L性の負荷の浄化槽エアーポンプ(ナショナルCL2329A)と、この浄化槽エアーポンプに18μFのコンデンサを直列に接続したC性の負荷のものと、完全にC性の10μF200VACのコンデンサを負荷としたものとで比較実験しました。

測定結果は、どちらもほぼ同じ値を示しました。何故かコンデンサのみの負荷の場合は、METEXのM-3860Mは電流が0Aとなり測定できませんでした。

測定項目 扇風機(風量大)
(ほぼ力率1)
エアーポンプ
(誘導性負荷)
C付エアーポンプ
(容量性負荷)
10μFコンデンサ負荷
(容量のみの負荷)
電源電圧(RMS) 103V(100V) 104V(101V) 104V(101V) 103V(100V)
電源電流(RMS) 0.50A(0.54A) 1.26A(1.24A) 0.86A(0.99A) 0.37A(0A)
有効電力 51W(54W) 48W(51W) 23W(24W) 0W(0W)
皮相電力 52VA 131VA 90VA 39W
力率(PF) 0.99(1.00) 0.36(0.41) 0.25(0.25) 0.01(0.00)

括弧の無い測定値はワットチェッカー(2000MS1)のものです。括弧内の測定値はMETEXのM-3860Mのものです。

METEXのM-3860Mは何もしなくても、電圧(V)、電流(A)、力率(PF)、有効電力(W)が同時に表示されて測定できます。

この実験で使ったエアーポンプを誘導性から容量性にする理論

エアーポンプを誘導性から容量性にする理論 浄化槽エアーポンプ(ナショナルCL2329A)に直列にコンデンサを追加した、R,L,C直列回路のインピーダンスの概念を簡単に説明します。

ダイアフラム式の浄化槽のエアーポンプの電気的な回路はコイルのインダクタンスが主で小さい抵抗分が直列に入っているものとみなす事ができます。これに直列に小容量(大リアクタンス)のコンデンサを接続して消費電力を低減しようと計画しました。

左の複素インピーダンス図で抵抗Rの抵抗分は赤色のベクトルOAとします。コイルのリアクタンス分は青色の +jωL でベクトルABに相当します。従ってこのエアーポンプの交流の抵抗(インピーダンス)はベクトルOBの長さに相当します。(力率はcosΦ1)

このエアーポンプに直列に接続したコンデンサのリアクタンスは緑色の -j(1/ωL) でベクトルBDの長さに相当して負の値を持っています。これを直列に接続すると O-A-B-D のベクトルとなり総合で ベクトルODの長さに相当するインピーダンスになって容量性の負荷となります。(総合の力率はcosΦ2)

気をつけなければならないのは、直列に接続したコンデンサのリアクタンスとコイルのリアクタンスの絶対値が近い時です。この時リアクタンス分が相殺され共振現象が起こり、抵抗分のみになり過大な電流が流れる事です。

ここで、(ω=2πf   f は周波数です)

まとめと結論

このワットチェッカーは標準価格が1万円程度ですが、5000円程度で販売されていました。価格の割にはとても性能の良い製品だと思います。結果は力率が悪くても(小さくても)正確に測定でき、価格以上の性能でした。エコワットと比べて性能の差は歴然です。

家電製品の消費電力のチェックや、積算電力の測定や、待機電力の測定には最適だと思います。しかし、本体の裏にプラグ部の突起があり、少し使いにくいと思います。プラグ部を収納できるようにするか、短いコード付きのプラグの方がスマートです。