電子、電気部品の識別方法

電気、電子部品を使う上での部品の値の読み方や識別方法を解説しています。部品の値の規則性(E12系列)やカラーコードの読み方など、部品を使う為には必要な情報です。テスターでトランジスターの識別する方法もあります。

電気・電子工作をする時や電気製品の修理をする時、抵抗器やコンデンサやインダクタやトランジスタ等の部品がどれかとか、その値が見ただけでわからないと、それを使いこなすことができません。全ての部品について判らなくても、主要な部品だけでも判ると修理することができることがあります。

部品の値の規則性(E12系列)

セラミック・コンデンサの写真

部品の値は1,2,3,4,・・・というようにちょうどの値になっている訳ではなく、1.2Ωとか6.8Ωとかの半端な値になっている事が多いと思います。理由は部品を使って設計する時、部品の選定ではその比率が問題となるからです。例えば10Ω付近では11Ω、12Ω、13Ωと1Ω置きで部品があっても良いでしょうが、1000Ω付近で、1000Ω、1001Ω、1002Ω、1003Ωの部品があっても何の意味もありません。

このような理由から、良く使われる部品はE12系列になっています。それは 1、1.2、1.5、1.8、2.2、2.7、3.3、3.9、4.7、5.6、6.8、8.2 の12種類のものです。この数列は約1.21の等比級数(等比数列)となっています。(101/12≒1.21)

大抵の設計では、これらの値で間に合いますし、これらの値ではダメなような設計は、設計に問題があることが多いと思います。しかし、もっと細かい値がどうしても必要な場合はE24系列の物もあります。

電源の電解コンデンサ等の大容量の物は、その値が少々違っても問題無いものです。そこでこのような場合はE6系列(1、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8)やE3系列(1、2.2、4.7)を使います。

個人で製作をする場合はE12系列で問題無いと思います。製作記事では、E24系列の510Ωを使う例がよくあるようですが、回路をよく見るとE12系列の560オームで代用できる場合が多いようです。原則として私はE12系列の物しか使いません。

カラーコードの読み方

カラーコード表
数字 乗数 ±誤差 覚え方
    0 100   黒い礼服
  1 101 1% 茶を一杯
  2 102 2% 赤いニンジン
  3 103   第三の男
  4 104   岸恵子
  5 105 0.5% みどりご
  6 106   ブルームーン
  7 107   紫七部
  8 108   ハイヤー
  9 109   ホワイトクリスマス
    10-1 5%  
    10-2 10%  
      20%  

抵抗器や コンデンサ楽天 やインダクタ等の部品の値はカラーコードまたは数字コードで書かれていて、このコードが解らないと部品を使いこなす事が出来ません。次の表がカラーコード表です。初めはこの表を見て少しずつ覚えて下さい。慣れると見た瞬間に解るようになります。

■抵抗器

3桁~5桁のカラーコードで書かれています。3桁と4桁の場合は1~2桁までが数字で、3桁目が乗数です。4桁目は誤差です。5桁の場合は1~3桁までが数字で、4桁目が乗数です。5桁目は誤差です。単位はΩ(オーム)です。6桁目は温度係数ですが6桁のものはあまり無いでしょう。

例えば茶、黒、赤、金、なら10*102=1000となり1kΩで±5%の誤差のものとなります。

■コンデンサ

値の読み方は抵抗と同じです。単位がPF(ピコファラド)となります。カラーでなく数字コードのものもあります。

■インダクタ

これも値の読み方は抵抗と同じです。単位がμH(マイクロヘンリー)となります。

チップ抵抗等で2桁表示の場合の読み方

記号 数字 記号 数字 記号 数字 記号 数字
A 0.1 G 1.8 N 3.3 U 5.6
B 1.1 H 2.0 P 3.6 V 6.2
C 1.2 J 2.2 Q 3.9 W 6.8
D 1.3 K 2.4 R 4.3 X 7.5
E 1.5 L 2.7 S 4.7 Y 8.2
F 1.6 M 3.0 T 5.1 Z 9.1

チップ抵抗等は小さくて抵抗値を書くスペースが狭く「W3」等の2桁表示のものがあります。「W」は数字を表し、「3」は乗数を表しています。

■抵抗値
 「W」=6.8、「3」=103 となり、単位はΩです。6.8*103=6800=6.8kΩとなります。

コンデンサの耐電圧と容量の誤差の読み方

耐電圧[V] 誤差
記号 数字 記号 数字 記号
A 1.00 G 4.00 J ±5%
B 1.25 H 5.00 K ±10%
C 1.60 J 6.30 M ±20%
D 2.00 K 8.00 P +100,-0%
E 2.50 V 3.50 Z +80,-20%
F 3.15 W 4.50    

セラミックコンデンサやマイラーコンデンサ等で「1H104M」のように表示されているものがあります。「1H」は耐電圧、「104」は容量、「M」は容量の誤差を表しています。

■耐電圧
 「1」は、10の乗数を表し、「H」は、耐電圧の数字を表しています。1H=101*5.00=50V となります。

■容量の誤差
 「M」は、M=±20%となります。

トランジスターの識別方法

トランジスターの規格表を見ればすぐ解りますが、規格表が無い時とか、あっても見るのが面倒な時の私の識別方法を紹介します。

トランジスターの種類
2SAタイプ高周波用 コレクタ、ベース、エミッタがPNPの順番になった構造(PNP型)
2SBタイプ低周波用
2SCタイプ高周波用 コレクタ、ベース、エミッタがNPNの順番になった構造(NPN型)
2SDタイプ低周波用
トランジスターの足の識別方法

テスターで導通をみると、P形半導体からN形半導体へ電流が流れるので、とりあえずベースはわかります。コレクタとエミッタの見分け方は次の様にします。

NPN型を例に説明します。テスターは抵抗の約千倍レンジにしておきます。写真の様にコレクタと思われる足にテスターの黒の棒(電圧はプラスが出ている)を当て、エミッタと思われる足に赤の棒(同マイナス)を当てます。コレクタと思われる足とベースとの間を指で触ります。テスターの針が普通に指だけに当てた時より大きく振れれば、想定した足がコレクタとエミッタです。

PNP型はテスターの色を逆にします。 応用として、何個もあるトランジスターの中からhfeの大きいのを探すとか、hfeの揃ったのを探すとかにも利用でき、簡易的に識別が可能です。トランジスターが生きているか死んでいるかもわかります。トランジスターを使用する前に私はいつもやっています。知っていて損はないと思います。

これはテスターの電源とテスター内部の抵抗を使って簡単な増幅回路を形成しています。ベースとエミッタ間の指は人体を抵抗として使いベース電流を流してやります。

このような用途に使うには、テスターはアナログの方が使いやすいと思います。