電気柵用電撃装置「ショックンPC」

ショックンPC(コンデンサー放電方式)開発の経緯

電気柵用電撃装置ショックンPCショックンPC (高圧パルス間隔0.5秒と1秒の切替)
 従来のイノシシ用の電気柵に使う電撃装置「ショックンPK」はコイルのキックバックInductive Kickback(フライバックFlyback)を利用していました。このコイルに蓄電する方式でもかなり効果のある電撃装置を作れるのですが、更に性能を追求して、ショックンPCを開発しました。
 ショックンPCはコンデンサーに蓄積した電荷を一気にトランスに放電させてトランスによって昇圧する方式です。自動車でCDI点火方式がありますが、それに近いやり方です。
 ショックンPCのPはパルス方式を、Cはコンデンサーディスチャージ方式を意味しています。

 ケースはプラスチックの丈夫な物です。非常にコンパクトに製作しました。高圧が高いので高圧端子を大型の物に変更して更に絶縁を強化しました。
(2008.04)



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コイルのキックバック方式からコンデンサー放電方式へ

 コイルのキックバック方式(車で言えばポイントやトランジスターを使ったイグニッション方式と似ている)ではコイルの電流が切れた時発生する高圧値は不定で高圧は周辺の回路に依存します。、この方式の電気柵用電撃装置はこの高圧が高くなり過ぎないように制限するコンデンサーやバリスター等が必要でした。そうしないと高圧が上がり過ぎて高圧部品が壊れてしまいます。
 また漏電や電気柵と大地間の静電容量で高圧が下がりやすいという欠点がありました。もちろんコンデンサーの放電方式(Condenser Discharge 方式、車のCDI点火方式)でも漏電や電気柵と大地間の静電容量で高圧は低下します。しかし、この方式の高圧の低下は少ないのが一般的です。
 なぜなら、 コンデンサー 放電方式の高圧の値はコンデンサーの充電電圧とトランスの昇圧比で決まるからです。漏電等で高圧が低下するというより、高圧のエネルギーが一定なので漏電時は高圧のパルス幅が小さくなるのです。もちろんパルス幅を維持できない程漏電すれば高圧は低下します。
 コイルのキックバック方式は一旦トランスのコイルに電気エネルギーを蓄積して、電流を切った時自己誘導で高圧を発生させます。つまりトランスをONした後OFFの時にエネルギーを取り出します。しかし、コンデンサー放電方式は、トランスの一次側に電圧を掛けた時、出力に高圧が発生します。つまりトランスをONした時に出力を取り出します。
 この為、キックバック方式は電気エネルギーを一旦トランスのコアに磁気エネルギーとして蓄積するので、コアの大きさが問題となります。これに対してコンデンサー放電方式は一次電流と二次電流とでトランスの磁気がキャンセルされるのでトランスのコアの大きさはあまり問題になりません。
 コンデンサー放電方式の特徴を箇条書きすると、

 必ずしも良い点ばかりではありませんが、この方式も選択肢のひとつと言えるでしょう。

PICの使用や回路での工夫

ラッチアップ対策   PICマイコン はCMOSのICであり、高圧を扱っているとラッチアップという現象は、避ける事が難しいものです。高圧の放電等で突然ICに大電流が流れる事があります。異常時電源をわざと不安定にして内部リセットを掛ける事で解決。
 また未使用のPIC端子は出力に設定し、入力にしか設定できない端子は入力に使ってノイズ防止コンデンサを使用しました。
プログラム暴走対策  マイコンの宿命のようなもので、コンピューターというものは時々言うことを聞かないことがあります。ウォッチドッグタイマー(番犬タイマー)を使用して、もし暴走したら即リセットを掛ける事で解決。
ノイズによる誤動作対策  回路によっては高圧の放電時には大きなノイズが発生して、PICが誤動作することがあります。プログラムのメインルーチンにPICのI/Oポートの再設定とPICの初期設定を可能な限り入れて、もし誤動作してもすぐ元に戻すようにしました。
電源電圧変動対策  電源のインピーダンスをわざと高くした定電圧回路とし、パワーアップタイマーを使用。PICのブラウンアウト検出という機能を使って電源電圧が低下して復帰した時、自動的にリセットを掛ける事で解決。
待機時の省電力対策  昼間等の待機時にPICを動作させておくとPICの電源安定化に最低でも数mAの電流が必要です。この為アナログ回路を駆使して、待機時はPICを動作させない回路にして、待機時の消費電流を約0.05mAにしました。
静電気によるPIC破壊対策  高圧を扱っているので静電気等でICが破壊されるのを防ぐ為に、電源とアース以外でICから外部にリード線で接続する場合は直列に必ず抵抗を接続しました。(これはテレビの設計では常識です)
汎用基板の使用  専用のプリント基板を作成せず、サンハヤトの汎用のディスクリート回路用基板(4mmピッチの穴あき)を使用しました。部品の配置をうまく考えたので簡単で低コストに作成できました。
チップ部品の使用  プリント基板をコンパクトに製作する為、チップ部品を使用しました。高容量の積層チップコンデンサは小さくて非常に有効でした。
 電解コンデンサは信頼性が低いので使用していません。
高圧安定化回路  電源電圧が変動しても、高圧が一定となるようにコンデンサーの充電が完了したら充電を自動停止するようにしました。
パルス間隔切替回路  イタチやヌートリアや猿のように動作が速い動物が田畑に入るのを防止する為に、高圧パルスの間隔を1秒と0.5秒に切り替えられるようにしました。
簡単回路で省部品の工夫  簡単な回路でもうまく働くように、極力部品点数を減らし、ひとつひとつ部品を吟味して使用しました。回路の信頼性と低コストを両立させました。



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ショックンPCの主な仕様

電気柵用電撃装置「ショックンPC」(コンデンサー放電方式)
電源電圧 DC12V (10V〜14Vで使用してください。)
12Vバッテリーのプラス、マイナス逆接続でも完全に保護します。
DC12VとAC100V共用に改造もします)
電源電流 動作時平均値約30mA
待機時約0.05mA (これは特に少ない電流です)
高圧出力 ピーク値約5,000V (無負荷、パルス間隔低速時、オシロスコープで測定)
最大蓄積エネルギー 約180[mJ] *注
高圧発生期間 約2000分の1秒間 (高圧負荷によって変動します)
高圧発生周期 1秒(低速)と0.5秒(高速)にスイッチ切替可能
高圧安定化回路 電源電圧が変動しても、高圧が一定となるようにコンデンサーの充電が完了したら充電を自動停止します。
明るさセンサ CdSを使用して自動で夜だけ、または常時動作が可能
重量 約1.3kg
ケース 寸法 D=約140 W=約110 H=約75 [mm] 突起部を除く
材質 プラスチック製(ABS t=3mm) パネルはアルミニウム製
防水構造ではありません。とてもコンパクトです。

*注
 高圧発生周期が低速 (1秒に1回) の時は約5kV、約180[mJ]で、高速 (0.5秒に1回) の時は約4kV、約110[mJ]です。
 最大蓄積エネルギーは高圧出力エネルギーではありません。トランスに投入した1回の有効エネルギーです。高圧出力エネルギーの測定は簡単にはできません。

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