バックホウ(ドラッグショベル)の運転方法
バックホウ(バックホー、ドラッグショベル)は油圧ショベルとかパワーショベルとかショベルカーとかユンボとか呼ばれていますが、手前にバケットを引いて使う形式の物の正式名称はバックホウ(Backhoe)です。引いて使う鍬(くわ)という意味です。ユンボというのは元々三菱重工のバックホウの商品名です。
バックホウ(ドラッグショベル)の特徴
1990年代に社団法人日本建設機械工業会によって、油圧ショベル、パワーショベル、ショベルカー、バックホウ、ドラッグショベル、ユンボ、フロントショベル、ローディングショベル、油圧ブレーカー等の統一名称を「油圧ショベル」と定めたようです。
バックホウは建設業だけでなく農作業にも使うことができます。田畑があまり整備されていない中山間部ではとても重宝します。一般的には大人の10人分以上の仕事をします。
私はこれを田舎に家を建てた1996年に中古で購入して使っています。家の周りの土の移動や石垣積みや井戸掘りや鉄骨の倉庫の建設や地下貯蔵庫掘りや暗渠掘り等に使ってきました。元々畑しか無かった所に家を建てたので、まだまだ色々と整備する所がありそうです。業者に頼むよりも自分で好きなように考えてできるので、普通ではやらないようなことも自分でならできます。
バックホウの運転レバーはたくさんあり、最初はどれを操作するとどこが動くのか解りにくいものです。しかし、慣れてくると自分の手足のように無意識に動かすことができます。今回はバックホウの運転の仕方について解説したいと思います。(2008年8月)
バックホウの各部の名称
バックホウは、作業する部分が人間の腕のように大きく3つの部分に分かれていて、名称は作業をする先端からそれぞれバケット、アーム、ブームと呼んでいます。バケットが人間の手の平でアームが前腕部、ブームが上腕部に相当します。
バックホウ全体を移動させるには、戦車のようなキャタピラー(クローラー)を使います。このキャタピラーは鉄のものと表面がゴム製のものがあります。鉄製の方が丈夫ですが、アスファルトの上を移動するとアスファルトに傷が付きますので、最近はゴム製の方が一般的です。
また小型のバックホウでは整地作業や機体の安定に便利なブルドーザーのような排土板が付いているものが多いようです。
バックホウの各操作レバーでの動作
バックホウは全ての動作を油圧で行ないます。クローラー(キャタピラー)の回転も油圧です。だから暖機運転をして、作動油の温度が上がってから操作します。暖機運転中にバケットやアームやブームや排土板の動く部分にグリスを注入してやります。
この写真は三菱 MM20CRの運転席の操作レバーです。機種によっては少し位置が違う場合がありますが、どれも似たようなものです。
運転席の前の中央に2本の前後に動くレバーがあり、右のレバーは右の、左のレバーは左のキャタピラを動かすレバーです。これで機体を前進させたり後退させたりします。左のレバーだけを前に倒すと機体は右回転しますし、同時に右のレバーを後ろに倒すと同じ位置で機体は速く右回転します。
このレバーの操作では特に注意しないといけない事があります。バックホウの上半分の運転席は360度旋回できるので、排土板が後ろにある位置で作業している場合は、前進させるつもりでレバーを前に倒すと、機体は運転者から見て後ろに進んでしまうことです。このような勘違いを防ぐ為には、狭い場所や高い場所での作業は必ず排土板が前になるようにして作業をしたいものです。
左右のその横にあるレバーが、バケットやアームやブームを動かしたり、機体上部を旋回させたりするレバーです。機種によってはその操作方法が異なるものもありますが、一般的にはJISで決められた次のような動作をします。
右側のレバーを前後に動かすとブームを倒したり、起したりすることができます。右側のレバーを左に動かすとバケットに土を入れることができます。これを右に動かすと土を捨てることができます。
左側のレバーを左右に動かすと機体上部を左右に回転することができます。左側のレバーを前後に動かすとアームを上下することができます。
バックホウにはブルドーザーのような排土板がついていますから、バックホウを前進、後退させながら整地することができます。やってみるとわかりますが、前進させながらの整地はとても難しいものです。仕上げには後退させながら整地するのがコツです。また位置を固定して作業をする場合はブレード(排土板)を下げてやると安定して作業することができます。
この他にもアームを左右に動かす為の切替ペダルや走行速度の切替ペダルが付いているのが一般的です。
ディーゼルエンジンの始動方法
- エンジン始動前に燃料やオイルや冷却水や計器類の点検をします。
- 各操作レバーを操作できないように安全ロックレバーをロックの位置にします。
- アクセルレバーを最低速より少し引きます。
- エンジンキーをプラグを予熱する位置にして、そのまま保持します。
- 予熱ランプが消えたらエンジンキーを始動の位置に回します。
- エンジンが始動したらエンジンキーから手を離します。
- エンジンが始動したら、2〜3分間最低速で暖機運転します。
- この間に各部にグリスポンプを使ってグリスアップします。
バックホウの格納と日常のメンテナンス
- バックホウを使った後はバケットを地面に下ろしておきます。排土板も下げておきます。
- 安全ロックレバーをロックの位置にします。
- グリスを注入する部分が多いので、定期的にグリスポンプでグリスを注入します。特によく使うバケット回りは毎回グリスアップします。
- 潤滑オイル、作動オイルの汚れと量を点検して、少ない時は補充します。
- 水冷エンジンの冷却水(不凍液)の量を点検して、少ない時は補充します。
- ディーゼル燃料タンクの中の燃料はいつも満タンにしておきます。そうしないと温度変化で燃料タンクの中に空気中の水分が結露して水が溜まることがあります。
- 時々バッテリーの液の比重と量を点検します。あまり使わない場合は、時々補充電をします。
- その他にも各部を時々点検して、不具合な所は修理しておきます。
バックホウの運転資格
バックホウで小型特殊自動車に分類されるものについては車検はありません。所有して市町村に登録すれば軽自動車税がかかります。
道路交通法では大型特殊または小型特殊に相当する自動車ということになります。公道を走るのなら、大型特殊か小型特殊の免許が必要です。そうなるとナンバープレートも必要です。市町村への登録も必要となります。自賠責保険も必要です。
バックホウの現場での運転免許のようなものは、労働安全衛生法では「車両系建設機械運転技能講習終了証」です。これが無いと運転してはいけないと言われていますが、自分の敷地の中で個人的な用途に使うのには資格は必要無いと思います。
特殊な機械なので、何の知識も無く使うと危険なので、講習を受けてから使うべきです。建設会社の仕事や自分で仕事を請け負うのならぜひ必要な資格です。
車両系建設機械運転技能講習には機体重量3トン以上と機体重量3トン未満(小型)の2種類の資格があります。私は所有しているバックホウが機体重量3トン未満なので1996年頃、小型車両系建設機械運転技能の特別教育を受けました。この講習は1日で終わりました。実地試験はありませんでしたが販売店等で実地技能講習をしたという証明が必要でした。
小型特殊自動車の種類による公道での運転免許
平成16年7月1日より小型特殊自動車の規格等見直しが実施され、次のように総排気量1500cc以下の項目が無くなりました。
小型特殊自動車免許で運転できる小型特殊自動車
特殊な構造を有する自動車で、車体の大きさが長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下(ヘッドガード等を含んだ高さ2.8m以下)で15km/hを超える速度を出すことができない構造のもの
大型特殊自動車免許が必要な新小型特殊自動車
特殊な構造を有する自動車で、車体の大きさが長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.8m以下で15km/hを超える速度を出すことができない構造のもの
機体重量とは
車両系建設機械から、作業装置(バックホウなら、ブーム、アーム、バケット等)を取り外して燃料、作動油、潤滑油、冷却水等が入っていない質量で乾燥質量とも言います。機体に書いてあります。
機械重量とは
車両系建設機械に作業に必要な作業装置(ブーム、アーム、バケット等)を装着して燃料、作動油、潤滑油、冷却水等が入っている質量で湿式質量とも言います。これも機体に表示されています。
バックホウの定格の例(規格)
三菱MM20CR標準仕様| 機体重量 | 1,600kg |
|---|---|
| 機械総重量 | 2,120kg |
| バケット最大積載量 | 120kg |
| バケット容量 | 0.066m3 |
| 定格出力 | 17PS (12.4kW) |
| 最高走行速度 | 4.1km/h |
| 平均接地圧 | 0.3kgf/cm2 (29kPa) |
中古バックホウの選び方
- 価格はミニのバックホウの方が大型のものに比べて人気があるので割高です。
- 自分のしたい作業に適した大きさか、移動に使う車に積載可能かどうかも重要な要素です。機械総重量より少し大きめの積載量が必要です。
- 操作方法がJIS方式か、それとも特殊な方式かも確認します。
- 油圧部の油漏れや、その他のオイルの漏れががないかをよく見て選びます。
- 油圧ホースが痛んでいないか点検します。
- 油圧シリンダ部の変形がないかを見ます。
- キャタピラーの減りや、破損や変形の少ないものを選びます。
- バケットもできれば減りの少ないものを選びます。
- エンジンの調子や音に異常はないかをよく見ます。
- 冷却水の漏れがないかを見ます。
